■入居者のこだわりや要望
■続き間の寝室(寝室は家族に一室でよい)
■リビング・ダイニングを広くとりたい
このすまいは2階に玄関を配し、リビング・ダイニングなどのパブリックスペースを設けています。1階はプライベートスペース、寝室や浴室があります。大きな特徴として、1階の洗面室や浴室へは、それぞれの寝室や客間からのみアプローチできる、というめずらしい間取りになっています。
また、デッキテラスやルーフテラスが多く開放的なすまいです。
>> 「間取り図」
■寝室
こちらのご主人は、「家族みんなで寝るので、寝室は一つでよい」と考えていらっしゃいました。(計画を始めたころはお子さんが小さく、家族で同じベッドで寝ていらっしゃったそうです。)
そこでご提案した間取りは、1室だけれど、引き戸で3室に仕切れる寝室です。お子さんが小さい間は一間で大きく空間を使えます。また、お子さんが成長し、個室が必要になった時など、場合に応じてフレキシブルな空間の利用ができるからです。
■リビング・ダイニング
広い、開放感のあるリビング・ダイニングを、という要望はデッキテラスと一体感をもたせることでクリアしました。リビング・ダイニングの実際の広さは10畳ほどですが、南側に広いウッドデッキを配しており、それが床の延長に見え、実際の面積以上に広く感じます。気候がいいときは窓を開けて一体感を楽しむこともでき、本当に気持ちよいスペースとして活用できます。
また、北側にも腰高の窓を設けていますので、実際、光と風が抜ける、明るく開放感いっぱいのリビング・ダイニングになりました。
■設計で苦労した所や工夫した点など
■コスト
やはり予算面での調整は難しいところです。
ローコストということは、耐久性に直接反映することが多いので、全体を考えて素材選びや仕様をご提案します。安くても短期間でメンテナンスが必要なものだと、住んでからが大変だからです。
例えばこのすまいの床材はパイン材(ムク)のフローリングを採用しました。通常のフローリングの場合、傷がついて修繕する際は張り替えますが、昔ながらのムク材は、傷がついた表面を削ることできれいな床に修繕できます。節があることを許せば、費用も安く抑えることができるのです。
また、このすまいの屋根はやさしい弧を描いた特徴のある形状をしていますが、普通の屋根、天井と同じ材料をうまく組み合わせることで曲面を作り、コストを抑えました。値段と見栄え、メンテナンスのしやすさなどをふまえた上で、いろいろなご提案をしたいと思います。
■建築の法令
建物を建てるときは、その敷地がある地域や、接している道路などからいろいろな制約が出てきます。おのずと建物を建てられる場所や高さが決まってくるのです。このすまいはその制約がきびしく、それをクリアしながらその空間を余すことのないすまいをつくることに気を使いました。
|